── ブームか、構造転換か。サードパーティ規制後の5年を読む
最近よく耳にする「リテールメディア」。
広告業界の新トレンドのように語られることも多いが、
冷静に考えると疑問が湧く。
それって昔からあったのでは?
Cookie規制で資本が流れただけでは?
もしかしてバブルなのでは?
この記事ではまず「リテールメディアとは何か」を整理し、
その上で構造変化なのかどうかを読み解いていく。
1. リテールメディアとは?
一言で言うと、
小売企業が、自社の売り場や顧客データを使って広告を販売する仕組み
のこと。
簡単に言えば、
「お店が広告会社になる」というモデルだ。
具体例① EC型リテールメディア
ECサイトで商品を検索すると、
「スポンサー」と表示された商品が上位に出てくる。
これはメーカーが広告費を払い、
その売り場内で目立つ位置を買っている。
代表例:
Amazon
楽天グループ
具体例② 店舗型リテールメディア
店内デジタルサイネージ
電子棚札
レジ横広告
アプリクーポン通知
これは“買う直前”に広告を当てられる。
例:
イオン
セブン&アイ・ホールディングス
2. 何がそんなにすごいのか?
ポイントは「購買データ」だ。
通常の広告は、
興味関心
閲覧履歴
推定ターゲティング
が中心。
一方、リテールメディアは、
「誰が、何を、いくらで買ったか」
を持っている。
つまり、広告を見た人が本当に買ったかまで追える。
これが最大の強みだ。
3. では、昔からあったのでは?
その通り。あった。
店頭POP
棚割り費
チラシ掲載料
「売り場を広告化する」という考え方は昔から存在していた。
では何が違うのか。
違いは「IDとデータ統合」だ。
昔は“棚”だけ。
今は“棚+顧客ID”。
例えば:
楽天グループは会員ID経済圏を構築
イオンはWAONとPOSを連携
セブン&アイ・ホールディングスは7iDで来店履歴を管理
ここが革命的変化だ。
4. なぜ今、注目されているのか?
① サードパーティCookie規制
外部データが使いにくくなった。
しかし小売は“自社データ”を持っている。
だから広告予算が流れ始めた。
② ROI圧力の高まり
広告主は今、
「売上に直結するか」を重視する。
リテールメディアは
購買に近い。
つまり“刈り取り型媒体”。
③ 小売の収益構造変化
小売は利益率が低い。
だが広告は粗利が高い。
そのため小売は
「商品を売る会社」から
「広告も売る会社」へ
変化し始めている。
5. バブルで終わる可能性は?
可能性はある。
理由:
広告費の付け替えが中心
広告枠には限界がある
過度なROI期待
だが完全崩壊は考えにくい。
なぜなら、
購買直前接点は常に価値があるから。
弾けるのは“過剰な期待”。
構造は残る。
6. 5年後予測(2031年)
結論
勝者は少数化する。
勝ち残るのは?
① プラットフォーム型
Amazon
楽天グループ
ID統合が強い。
② 高頻度来店型
セブン&アイ・ホールディングス
ファミリーマート
即時販促に強い。
③ リアル接点型
イオン
鍵はデータ基盤。
広告の役割はこう分かれる。
上流(認知)=動画・SNS
下流(刈り取り)=リテール
リテールは“最後の一押し媒体”になる。
7. 本質は広告ではない
これは単なる広告トレンドではない。
小売のメディア化
メディアの小売化
データを持つ企業が強くなる。
交渉力の再配分が起きている。
まとめ
✔ リテールメディアは昔から存在した
✔ だがID統合で進化した
✔ Cookie規制が追い風になった
✔ 期待値バブルは修正される可能性
✔ しかし構造は残る
今起きているのはブームではなく、
「データを持つ者が主導権を握る時代」への移行
である。

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