和牛というと高級感がありますが、よくよく考えるとスーパーの国産牛と何が違うんでしょう?
A5ランクの牛肉は具体的にどうスゴイんでしょうか?
日常に湧き出たふとした疑問をここで徹底的に解説していきます。
▼結論を最初からどうぞ
・和牛は日本の在来種となる牛のことを指す
・A5和牛などの格付けは味に関係がない
・自分の好きな牛肉の銘柄や食べ方を見つけるのが正解
え?
と思った方も多いのではないでしょうか?特に「A5和牛 = 高級 = 美味しい」という風に頭に染み付いていたかもしれません。
宣伝とは怖いものですね、このようなものに騙されないように、ぜひこの記事で牛肉の正しい知識を仕入れてもらえればと思います。
ぜひ楽しんでいってください。
和牛と国産牛の違い
まず和牛という言葉を聞いて、スーパーに売っている国産牛も日本の牛肉なら和牛なのでは?という風に疑問をもつかもしれません。
これは半分正解です。
考え方としては、和牛もスーパーの牛肉も「国産牛」の中に定義されます。その国産牛の中で、和牛と肉専用種(和牛以外)として区別されます。
つまり決められた品種が和牛として定義されていて、それ以外のものがスーパーで売られている牛肉になり、和牛とそれ以外が説明できます。
図で表すと以下のイメージです。
つまり和牛もスーパーの牛肉も国産牛なのですが、和牛と名乗れる品種が決まっているということです。
最後にこの和牛の品種についてもう少し詳しく付け足します。
▼和牛とは?
和牛は日本原種の以下の4種とこの4種間の交雑種のみを指します。
・黒毛和種
・褐毛和種
・日本短角種
・無角和種
・上記4種間の交雑種
これらは肉の旨味を追求し改良を重ねてきた歴史のあるもので、販売の際は公正取引委員会が認定する「食肉公正競争規約」にもとづいて、これらだけが「和牛」と表記されます。
A5和牛とは
このお肉はA5和牛なんですよ!という風に紹介されることがあります。
美味しさが評価されてるんですよ!という風に聞こえてきますが、実はA5和牛などの格付けはその牛肉の美味しさを評価したものではないのです。
この事実に驚く人は多いかもしれません。では、A5和牛などの格付けはそもそも何なのでしょうか?
牛肉の格付けは英字の「A,B,C」と「5,4,3,2,1,」の数字の組み合わせの計15区分で表現されて、それぞれ最左が最上級となるためA5が最上ランクとなります。
ではこの「A,B,C」と「5,4,3,2,1,」が何を指しているのかをみていきます。
歩留まり等級「A,B,C」
歩留まり(ぶどまり)等級というのは、1つのお肉の塊からどれだけロスが少ないかを表しています。
ロスが少ないほど食べれる部分が多いので、そのお肉が標準よりも良いなら「A」、標準なら「B」、標準よりも劣るなら「C」という風に評価されます。
お肉を解体する際、骨や皮下脂肪は当然外されますので、それを除いたお肉の割合が標準よりも良いなら「A」という風につけられるものです。
肉質等級「5,4,3,2,1,」
肉質等級は、検査員が肉眼で見てお肉の状態を判断するものです。
以下の項目で判断され、最終的に各項目のうちもっとも低い等級で格付けされます。
▼肉質等級の項目
脂肪交雑:脂肪の状態を「5:かなりおおい」〜「1:ほとんどない」で格付けする。
肉の色沢:肉の色と光沢を基準と比べて格付けされる。
肉の締まりおよびきめ:こちらも5〜1で格付けされる。
脂肪の色沢と質:脂肪の色と光沢と質をチャートにもとづいて格付けされる。
瑕疵(かし)の表示:お肉の傷などをみて格付けされる。
冒頭で牛肉の格付けは美味しさを評価したものではないとお伝えしましたが、美味しさに繋がる部分としてはこの肉質等級が一つ言えるかもしれません。
銘柄牛
格付けが必ずしも美味しさを表したものではないことは説明しました。では銘柄はどうでしょうか?松阪牛や神戸ビーフなど一度は聞いたことのある高級ブランド牛。こちらについてご説明します。
格付けが美味しさよりもどちらかと言うと品質に重きをおいているのに対して、銘柄は味も含め品質が保証されています。
当然ながら、ブランドがついているため美味しさにも信頼がないと成り立ちません。
有名なブランド牛は複数存在しており、一つ一つ歴史やブランドを名乗るための定義、商標登録など行われています。
ここでは全てをご紹介するのは難しいので、以下に銘柄牛をまとめさせていただきます。
▼銘柄牛の例
黒毛和種
松阪牛、近江牛、神戸ビーフ、米沢牛、前沢牛
褐毛和種
土佐あか牛、熊本あか牛
日本短角種
八甲田牛、たんかく和牛
無角和種
無角和牛
ブランド化するWAGYU
近年では日本の和牛が海外で注目され、WAGYUとして富裕層で認知がどんどん広まっています。
上述の通り和牛の定義が日本原種となっており、輸出を中心とした生産が行われていないため希少性が高まっていることに加えて意外な理由があります。
それは2003年にアメリカ産牛でBSEが発生し、日本への輸出が差止めになったことです。
もともとは外国産和牛がアメリカで生産されてましたが、このBSE問題で外国産和牛が国内で出回りその美味しさが知れ渡ることになりました。
このようなことがきっかけで、現在和牛が海外で注目を集めているのです。
さいごに
今回は和牛について簡単に解説しました。
これA5和牛だから!と得意げに紹介されても、これからは必要以上にリアクションする必要がなくなりますね(笑)
いずれにせよ格付けが高く、銘柄の和牛は品質も味も信頼性が高いと言えます。
ぜひここで得た知識を使って楽しく牛肉を食べてみてください。
それでは。
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