人が見てみぬふりをするのはなぜか?
その答えは、「人がいるから」です。
人がいるというのは自分以外の周囲に人がいる状況のことを指します。
ここでピンときた人もいると思いますが、この記事では「人がいるから」という答えをより具体的に解説していきます。
この答えは心理学で科学的に解明されているもので、きちんと裏付けされていて傍観者効果と呼ばれる心理現象が働くものです。
僕含め誰でも人生で1度は「見て見ぬふり」をしたことがあると思います。
見るからにやっかいそうなできごとに関わりたくないですよね。
わざわざ関わって、時間と労力を奪われるくらいなら見て見ぬふりをしてやり過ごそうというのが人の心情として自然です。
今回はこの「見て見ぬふり」が発生する理由を心理学的に解説すると同時に、自分自身が見てみぬふりをされない防衛法までお伝えしていきます。
▼この記事の参考になる人
・見て見ぬふりで、助けてもらわなかった経験のある人
・人として見て見ぬふりが良いのか悪いのか考えてる人
・心理学に興味のある人
ぜひ楽しんでいってください。
「見て見ぬふり」の理由が発見されるきっかけはある事件
1964年のニューヨークで起こった事件があります。
深夜に女性が住宅街で暴漢に襲われて刺殺される事件が発生しました。
犯行は30分以上に及び、犯行現場の前にあるアパートの住人38人がこの事態に気づき、中には窓から事件を目撃した人もいました。
ところが、38人もこの事態に気づいたにも関わらず、誰一人彼女を助けるために外に出ようとしなかったり、警察に電話することすらしなかったのです。
この事件は当初、大都会の人間関係の冷淡さや無関心さが背景にあるなどと多くのメディアで取り扱われました。
しかし一部の心理学者の仮説は異なります。
大勢の人がいた「のに」助けられなかった。のではなく、大勢の人がいた「から」かえって助ける行動が抑制された。というものです。
この仮説を確かめるために行われたの、傍観者実験と呼ばれるものです。
傍観者実験であきらかになった「見て見ぬふり」
傍観者実験は以下のようなイメージで行われました。
結果はその仮説を裏付ける決定的なものとなったのです。
議論中に仕掛け人が倒れる演技をします。そこに居合わせた人の行動をみる実験です。
すると少人数で議論している時よりも、大人数で議論している時の方が助けを求めに動き出す時間が長かったことが分かりました。
結果的に他者が大勢いる環境において、個々人が感じる責任の度合いが薄くなるということです。
これを上述の事件にあてはめて考えると、「これだけの住宅街で派手に起きているのだから、誰かがすでに助けに動いていたり、誰かが警察に電話したりしているだろう」という思考を38人に想起させたことの説明がつきます。
このような、他者が多くいる環境で個々人の責任感が薄まる状況は「傍観者効果」と名付けられました。
身近に起こっている傍観者効果
この傍観者効果は我々の身近なところで起こります。
ここからはシチュエーション別に見てみぬふりを考えてみましょう。それぞれどのように傍観者効果が働いているのかが理解できると思います。
相手を面倒に感じる時
人の相性もありますが、周囲からめんどくさがられているタイプの人は一定数います。
できれば自分は関わりたくない、他の誰かを当たってほしい。。。
これも傍観者効果の1つと言えるでしょう。
仮に面倒な相手が困っていたとしても、自分じゃなくていいかも。という形で傍観者効果が働いていると言えます。
学校でいじめられている人を見かけた時
これはイメージしやすいパターンです。
本当ならいじめの現場を見たら指摘してやめさせるのが良い行いなのかもしれません。しかしそれは本当にうまく行った場合のみの結果です。
現実はもっと残酷な結末に進みやすいと考えられます。自分も一緒にいじめられたり、周囲が賛同してくれない時などです。それを考えると、自分よりも適任がいる。と考えても仕方ないです。
いじめられている人を見かけたけど、見てみぬふりをしてしまった、、、
これは罪悪感がありますが、ある意味仕方のないことです。
電車でお年寄りが立っていた時
席を譲るのに勇気が必要な人がいます。
また、過去に席を譲ったけどお年寄りから「年寄り扱いするな!」と怒られた経験があったりすると譲りたくても譲れなかったりするものです。
せっかくの善意も行動に移せなければおしいものです。結果的に見てみぬふりになってしまった。ということもあります。
マナーを守っていない人がいた時
ポイ捨てしたり、電車で携帯電話で話していたり、歩きタバコをしていたり。
マナーを守れない人は一定数いますが、これを見た時に注意できず見てみぬふりをしたことは誰しもがあると思います。
ただ、現代においてマナーを守れない人というのは別次元だとも考えられます。下手に注意して逆恨みされて危険な目に遭うくらいなら、見てみぬふりで警察に頼んだ方がいいかもしれません。
道徳的に「見てみぬふり」は良くないことと教えられがちですが、ある意味人間が生き残るための身を守る大切な手段の1つとも言えそうです。
さいごに
今回は「見てみぬふり」をしてしまうその理由を解説してきました。
心理学的にその理由が解明されており、実は本能的とも言える人の反応だということが分かりました。
また、シチュエーション別にみると身近に「見てみぬふり」が存在しますし、場合によっては自分の身を守るための選択肢になりうるものです。
意外と奥が深い「見てみぬふり」ですが、もし自分が「見てみぬふり」をされたらどうしましょうか?助けが欲しい時に「見てみぬふり」をされたら本当に困ってしまいますよね。
そんな時のためにぜひ社会的証明の原理を知っておいてください。1回でできるテクニックです。
それでは。
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