人生何が起こるかわかりません。
急に体調を崩して外出先でうずくまってしまったり、人通りの多くないところで車を当て逃げされて困ってしまったり。
このような緊急事態は人生でゼロに近いほどありがたいものですが、有事の際に向けて事前準備はしておきたいところ。
実はそれに有効な手段が心理学で解明されています。
それが今回ご紹介する「援助行動モデル」です。
人が人を助ける仕組みを心理学的に理解しておくことで、有事の際に活かしてピンチを乗り切れたら何より対策として有効ですよね。
▼この記事が参考になる人
・緊急事態に備えておきたい人
・人の反応に興味のある人
・心理学に興味のある人
対策は全然難しいものではありません。1回この記事を読んでおけばOKです。
援助行動モデルが考えられた背景
援助行動モデルは、人の「見て見ぬふり」という行為がきっかけになっています。
昔、アメリカのニューヨークで大勢の人が事件に気づいているにも関わらず、大勢の前で女性が刺殺される事件がありました。
※詳細は別記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
この事件は後に傍観者効果という心理学の考え方を証明するものになっており、この傍観者効果が働いたことで、女性を助けるための援助行動に誰も出なかったというものです。
一方で、この事件が今後繰り返されないためにも、この傍観者効果を理解すると同時にそもそも人はどうやって援助行動を実際に行うのかを理解する必要があります。
それが援助行動モデルです。
この援助行動モデルを理解して、我々がとるべき対策を見ていきましょう。
援助行動モデルとは何か
端的に言うと、人が緊急事態で援助行動をとるまでの過程を5つのステップで説明したものになります。
図で示すと以下のイメージです。
図のイメージに当てはめると、上述の刺殺された女性は2と3のステップで周囲の人が援助行動に進まなかったと言えます。
つまり隣の人や周囲の人が何もしていなかったり、周囲に人がたくさんいるので、「自分が助けなくても他の人が助ける、もしくはすでに助けに動いている。」という風に考えてしまうことで援助行動が遠ざかってしまったのです。
また、ステップ3をクリアしたとしても実際に援助に動こうとした人が、自分が何をすればいいのか(できることなのか)を理解していないと事態は解決できません。
図のように、海で溺れている人を助けるためにカナヅチの自分が海に飛び込んだら事態はより悪化するだけです。
ですので、仮に私たちが緊急事態になってしまった場合は、私たちの手で人に援助行動をしてもらえるようにステップ5までクリアできるように誘導しなければなりません。
そのための対策をご紹介しましょう。
援助行動モデルを円滑に進める手法
結論は簡単です。
助けを求める相手を明確に示して、どうして欲しいかまで指示を出すことです。
例えばイベントの帰りにあなたが急に腹痛で倒れ込み、助けを求めないとならない緊急事態になったと過程します。
しかし場所はイベント帰りの人が多く賑わっている通りです。人々はすっかり舞い上がってあなたに気づいても特に緊急事態とは感じ取ってくれません。
そこであなたは、目に写った人にこう言うのです。
「そこの青いTシャツの方!そうあなたです。助けてください。救急車を呼んでください!」
これだけで援助行動モデルのステップ5まで相手を誘導して援助行動を引き起こさせます。
実は対策はシンプルで、まずは明確に呼びかけることで相手に緊急事態だと気づかせます、集団の誰かではなく確実にその人であることを示してその人を集団から切り離して個人として呼びかけます。
さらに必要なこと、例で言うと救急車を呼ぶという必要な援助行動を示すことで相手の行動を指示します。
こうすることで、相手に確実に援助行動を取らせることができるのです。
逆に一番やってはいけないのは、「誰か!助けてください!」という風な呼びかけだけで終わってしまうことです。
これだと援助する側の人も躊躇する時間が発生し、刻一刻と時間が過ぎてしまいます。
重要なのは相手と救助を明確に指示することなのです。
さいごに
備えあれば憂なしとは言いますが、人が人を助ける仕組み。援助行動モデルと対策を知っているだけで安心感はかなり高まりますね。
いざという時に援助される可能性を高める方法を知っておくことは大事です。
今回ご紹介した援助行動モデルは心理学の領域で学んだものです。
以下の本から得た知識になりますが、今回の援助行動モデル以外にも役に立つ心理学のテクニックがたくさん紹介されているのでぜひ参考にしてみてください。
それでは。
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