記憶に新しいこの事件から、この記事を書いている11/9は1週間と少しが過ぎたタイミングです。
僕は普段から心理学を勉強しておりまして、今回の事件を心理学的に考えてみたいと思います。
当然、プロの専門家ではなくアマチュアの視点なのでその点を承知した上で読み進めていただければと考えております。
同時に、今回の事件をきっかけに我々がこれからの生活で考えるべきことまで考察できればと考えています。
このような事件に遭遇してしまうことは不幸ですが、最悪の場合を想定して冷静に対処できるよう心理学を通してご紹介していきます。
ぜひ参考にしていってください。
ジョーカーが犯行を助長したのか?
起きてしまった事実は変えられませんし、服部恭太容疑者の人柄や事件の動機などは、テレビなどのワイドショーが扱いたい領域だと思うのでここでは触れません。
あらためてこの事件の概要は以下のニュース動画をご参考ください。
悲しいのは、バットマンに登場する人気の悪役キャラクター、ジョーカーに憧れて犯行したということです。
当然ながらジョーカーは架空のキャラクターでして、これに影響を受けたということで社会的にアニメや映画が悪者扱いされる風潮が高まるのが残念です。
しかし、本当にジョーカーに限らず架空の悪者キャラクターなどが犯罪に影響することはあるのでしょうか?
残念ですが心理学的にみると答えは「ありえる」です。
それは観察学習という心理効果で説明ができます。イメージは以下です。
観察学習のモデリング実験は、当然ながら攻撃的な姿をみた被験者全員がその後攻撃的な行動に出たわけではありませんが、事実として攻撃行動を取る人が増えたことがわかります。
しかも、服部恭太容疑者はハロウィンで仮装していたとはいえ、犯行について「電車内」、「ナイフ」、「タバコ」、「炎」という風に映画ジョーカーで使われていた演出をそのまま流用しているため、観察学習の心理が生じているのは間違い無いでしょう。
それでなくてもジョーカーに憧れている。と供述しているのです。
ニュースを見ている我々からすると、ここまでジョーカーにこだわって犯行に及んだ人物は驚異的です。
そして我々が次に気をつけるべきは服部恭太容疑者の模倣犯です。
実はこの模倣犯たちはすでに登場しています。
京王線無差別殺傷事件の模倣犯
この事件はワイドショーの格好のマトとなる内容には十分過ぎます。
なぜ服部恭太容疑者は犯行に及んだのか?分かりそうで分からないような構図のこの事件は連日報道されています。
そして連日報道されることや、その報道のあり方を問題視する視点もすでに出されています。
テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「ニュース番組は得られた映像を元に作っていくことになるので、今回も乗客が走って逃げる映像と容疑者の映像がセットで報じられているが、こうした映像を長く流すことでの影響も考えなければならないのではないか、今の報じ方でいいのか、という疑問も湧いてくると思う」と問題提起。
ABEMA TIMES 繰り返し流される京王線車内、容疑者の映像…むしろ“承認欲求”を満たし、模倣犯を招くことになっていないか?
https://times.abema.tv/articles/-/10004709
上記をみると、その報道でさえもある種の承認欲求を満たせてしまうものではないか?と揚げ足を取りたくなりますね。そしてこの記事を書いている私自身も少し迷いがあります。
ただ現実としてすでに模倣犯に該当する事件はすでに起こっています。
以下の2つの事件です。
上記の2つの事件に共通するのは、「電車内」、「危害を加える」、「ジョーカーに頼らない」ということです。
この「ジョーカーに頼らない」というのが今回の模倣犯の特徴と言えます。
服部恭太容疑者は小田急線事件の模倣犯でありますが、そこにジョーカーを模倣するということでオリジナリティ的なものを得ようとしているのが伺えます。
しかしその後の2つの模倣犯的犯行は、ジョーカーを抜きに行われている。
ここから分かることは、服部恭太容疑者のように社会に対して鬱積したものを抱える人たちが共感を覚え、それを発露する方法が「電車内」と「危害を加える」という形で拡散されたと言えます。
つまり服部恭太容疑者のようなジョーカーという思想を持たないことが、模倣犯たらしめていると言えそうです。
そして今後もこの模倣的犯行はしばらく続くと考えた方がいいです。残念ですが。
ただ事実としてこれに対して我々はどのように対策をすればいいのでしょうか?
心理学的に対策を考える_パニックに備えよう
今回の事件の模倣的犯行が行われるのは「電車内」で、その形は「危害を加える」というものです。
つまり電車内を想定して考えることが重要で、危害を加えられることに対策を考える必要があります。
まず、電車内で一番抑えなければならないポイントはパニックです。
パニックは特定の条件下で引き起こされます。イメージは以下です。
京王線の事件のように、乗客たちは慌てて窓の狭い隙間から脱出をはかろうとしています。
今回の事件で不特定多数に危害を加えなかったのは不幸中の幸と言えそうですが、もし服部恭太容疑者がそのまま誰でも構わず切り掛かっていたら怪我人はもっと出ていたはずです。
実は電車には手動でドアを開けるための装置が取り付けられていたので、誰かが落ち着いてそれを発見してドアを開けていれば、狭い窓に人が殺到することはなかったのです。
つまり、上記のイメージの通りパニックによって結果的に脱出に失敗する可能性が高まっていたのです。
このパニックの存在は知っておく必要があります。
パニックに翻弄されず、電車内にある手動でドアを開ける装置がどこにあるのかを冷静に見極めることを考えることが大切です。
心理学的に対策を考える_傍観者効果で思い込みを避ける
次に備えたいのが傍観者効果です。
これは、事件現場に居合わせた人が「誰かが助けに動くだろう」や「誰かがすでに警察に連絡しているかもしれない」という風に思うことで、そこに居合わせた人が行動を起こさないという心理現象です。
これは過去にニューヨークの住宅街で実際に起きた事件で、本来なら助けることができたのに傍観者効果が生じてしまったせいで殺人事件となってしまったケースがあります。
図で示すと以下のイメージです。
今回の地下鉄という状況を考えると、最初に隣の車両で異変を感じても、「誰かがすでに助けているだろう」や「誰かが車掌に連絡しているだろう」という思い込みが事件を最悪な事態にしてしまう可能性があるのです。
ですので、何か異変を感じたらすぐに近くの人に声を掛け合って行動すべきか話し出すのが得策です。
ひょっとしたら自分の早とちりかもしれないと不安い感じるかもしれませんが、勘違いで済むならそれに越したことはないですよね。
さいごに
今回の事件はテロです。
もちろん海外ほどでないにせよ、日本でもテロは昔から起こってきました。
我々の身近なところでテロが起こることを改めて認識すること、そして自分が不幸にも遭遇してしまったらどうするか?まずは心理学を利用して気持ち的に備えることが第一歩だと考えます。
冷静に対処しないことには犯人の思う壺です。
また、非常に残念なのがアニメや映画といったコンテンツが犯罪のトリガー扱いにされてしまったことです。
犯行に及んだ犯人が100%悪いのは事実なのですが、マスメディアはそれ以上の生贄を常に欲しているように思えます。
僕はバットマンシリーズは悪役も込みで好きなので非常に残念です。
僕にできることは日々勉強している心理学を利用して、不幸な出来事に遭遇してしまうことに備えることと、何が良くて何が悪いのかを見極める知見を磨き続けることくらいです。
ですのでこの記事が誰かの役に1ミリでも立てば嬉しいです。
また、今回の記事は以下で紹介する心理学の本を参考に執筆しました。
どちらも心理学を身近に感じられる本ですのでぜひ参考にしてみてください。
それでは。
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