人が何かに影響を受け、それが行動に現れることがあります。
例えば暴力性の高いゲームや漫画の影響を受けた少年が実際に犯罪を犯してしまうという事件も起きています。
このように影響を受けてしまう事象を観察学習という風に心理学で説明されます。
そこで今回は、この観察学習を具体的に解説し、というのが今回の記事のテーマになります。
▼この記事が参考になる人
・人がどのように影響を受けるのか知りたい人
・周囲の人が影響を受けている様子を見極めたい人
・心理学に興味のある人
ぜひ楽しんでいってください!
観察学習、モデリング実験で分かること
上記で紹介した、暴力性の高いゲームや漫画の影響を受けた少年が実際に犯罪を犯してしまうという事件は我々聞き手にとってはインパクトの大きいニュースです。
ただ、そのインパクトの大きさに注目が集まってしまい、肝心の「なぜ影響を受けるのか?」という点は見過ごされてきたように感じます。
この点を心理学は観察学習によるものだと説明していますが、それを図で示すと以下のようになります。
これは子供を対象に、攻撃的なモデルを見せた子供たちがその後の遊びの中で攻撃的な行動をとるのか?というものです。
結果は図の通り、攻撃的なモデルを見た子供たちは遊びの中で攻撃的な行動をとる傾向が高まります。
これだと子供を対象にした実験で、我々成人には関係ないという風に考えてしまう方は要注意です。
なぜなら世間で起きている犯罪は、青少年の犯罪よりも成人の犯罪の方が事実として多いからです。
社会性やモラルの成熟さを言うのであれば子供たちはまだ未熟で影響を受けやすいかもしれませんが、事実に目を向けない理由にはなりません。
むしろ大人の方が子供よりも攻撃的な行為について知識量が多いです。
子供のようにすぐに攻撃的な行為に移る可能性は低いかもしれませんが、大人の方が犯罪率が高いのは事実なのです。
少し話がそれましたが、お伝えしたいのは大人も十分にこの観察学習の影響を受ける。ということです。
観察学習の影響力を職場で考えてみる
この観察学習の観点で職場を見直してみると非常におもしろいです。
特に出世欲の強い人の振る舞いを見てみましょう。
過去に僕の上司(課長)だったある人は非常に出世欲が強く、部長や役員に忠実だが部下に厳しいという典型的な人でした。
非常にユニークなのが、その上司が語るエピソードや仕事の考え方が、その上の上司である部長や役員が過去に言ったことと全く同じだったということです。
役員が掲げるスローガンや、部長が会議の際にとる些細な振る舞いを完全にコピーして我々部下に発信しているのです。
これが観察学習によるものだと当時の僕は心理学の知識を持ち合わせていなかったので分かりませんでしたが、少なくとも「同じことをわざわざ言っている」ということに気づきました。
そして残念なことに、自分が受けたパワハラも同様に部下に対して行うのです。
僕が言われた中で印象的だったのが「最後までやりきりたいよね?」というものでした。
これは部長が会議で、予算規模の大きいプロジェクトの進捗が良くない報告を聞いた時に、当時の担当を鼓舞する意味で「最後までやりきりたいよね?」と使っていました。
ところが上司は僕に対し今日は残業しろという意味で「最後までやりきりたいよね?」と話しかけてきたのです。
その言葉の出どころがすぐに分かったので僕はあきれてしまったのをよく覚えています。
上記は僕が経験した分かりやすい事例ですが、このように大人になっても観察学習に頼って振る舞う人は一定数います。
このような人に出くわした場合、どのようなリスクがあるのかを考えるのが重要です。
僕の場合は「このままだと振り回されてしまう」ということが分かったので適度に距離をとりつつ対応してきました。
会社を使って自分を高めることより、会社に自分を高めてもらおうとする人は危険です。
さいごに
観察学習の影響力は大きいです。
特に自分に自信が無かったり、自分の目的や目標を明確に定められていない人は権威に従属して観察学習によって自分の行動を決定します。ちょうど僕の過去の上司の例のようにです。
ですので、職場の周囲の人たちはこの観察学習の観点で見てみるのも手です。
仕事の考え方や進め方を誰の影響を受けているのか?これを見極めることで、その人の我々に対する応対が見えてきます。
そして観察学習によるものだと分かれば、これから先その人がどのような振る舞いや働きをするのかが読めてくるのでおもしろいです。
今回ご紹介した「観察学習」は以下に紹介する心理学の本をもとに記事にしました。
観察学習以外にも、読んだらすぐに使える心理学のテクニックがたくさん紹介されているのでぜひ手に取ってみてください。
なんとなく関わっていた人たちを心理学の観点で見直すとおもしろいですよ^^
それでは。
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