着ている服や持ち物がブランドでそろえられている人が身近にいたり、道ですれ違うことがあるでしょう。
そういう人はどのような心理が働いているのでしょう。そう気になったことはありませんか?
全身ガチガチにブランドで固めている人は珍しいかもしれませんが、もしかするとこの記事を読んでいる自分自信がブランドにこだわりを持っているかもしれません。
洋服が分かりやすい身近な例です。ジャケットやTシャツ、スニーカーなどはファッションアイテムとしてブランドの存在感がありますよね。
また、ブランドはファッションに限らず我々の生活の中でいたる所に存在します。
例えば学歴もブランドの代表的なものの1つと言えます。
やたらと出身校を聞いてくる人は身近にいないでしょうか?
もしくは学歴に限らずキャリアを意識する人もブランドにこだわりを持っていると言えそうです。
自分はこだわっていないと思いつつも、どこかでこだわりを持ってしまうのがブランドというもの。
しかしこのような不可抗力的に感じるこだわりはどこからやってくるのでしょうか?
今回はそれを心理学の観点から解説していきます。
実は心理学の研究でこのことに答えが出ています。
キーワードは「社会的アイデンティティ」です。
この記事を読むことで、ブランドにこだわる心理を理解することができ、さらに過度にブランドにこだわる人への対処法もご紹介していきます。
▼この記事が参考になる人
・ブランドにこだわる人の心理を知りたい
・ブランドにこだわる人の対処法を知りたい
・心理学に興味がある
ぜひ楽しんでいってください!
ブランドにこだわる人の残念な思考法
ブランドにこだわる事は悪い事ではありません。楽しむ程度ならいいのですが、ブランドに必要以上にこだわる事は本人にもその周囲の人にも良い影響は与えないでしょう。
なぜブランドにこだわるのか。その理由は以下のようなものが考えられます。
▼ブランドにこだわる人の思考法
・ブランド=人の価値
・他人から良く見られたい願望がある
・有名人やセレブへの憧れが強い
・みんなが持っているから
・大人のステップアップだと考えているから
上記の項目それぞれで近しいものがありますね。いずれにせよ気持ちのいい価値観とは言えなさそうです。
ブランド=人の価値
これはブランドを持たないと人の価値がない。という点から始まっているものもありそうですが、どちらかと言うとブランドのバッグを買ったのに着ている服がバッグと見合わないから服もそろえないと!という発想から歯止めが効かなくなっていることに起因しています。
それが過熱した結果、ブランド=人の価値という所にまで行き着くのです。
視野が狭くなって突き詰めてしまった結果とも言えるでしょう。
他人から良く見られたい願望がある
言い方は悪いですが、ブランドはお金さえあれば誰でも手に入れることができます。
ファッション関係は特にそうです。
そしてブランドが高価であればあるほど、世間一般の人からは憧れの対象として機能します。
ブランドに乗っかることで、所有していることで自分が他人から良く見られているという満足感を得ることができるのです。
勉強したりスタイルを良くしたりと自分を内面から良く見せる努力をするよりもお金で解決できれば楽ですよね。他人から良く見られたい願望が強いのであれば、それが簡単に手に入るブランドに乗っからない手はないです。
有名人やセレブへの憧れが強い
好きな芸能人やセレブが身につけているアクセサリーと同じものが欲しくなる。という気持ちに通ずるものがあります。憧れに自分が近づきたいという発想です。
有名人やセレブがお金持ちという発想から、高級ブランドを身につけることで自分がそう成れている、近づけているという自己満足感、優越感のためにブランドを指標としてこだわります。
みんなが持っているから
上記の3点とは少し異なり、流行に乗りやすいタイプの人がブランドにこだわるパターンです。
周囲の人と同じである事が安心感を生み、かつ流行に乗っていない人と自分が区別されることで優越感を味わえることから、このような理由でブランドにこだわりを持つこともあります。
大人のステップアップだと考えているから
「ブランド品=良いもの」という認識を持っている人の考え方です。
例えば高級腕時計などそのような観点で語られがちですが、突き詰めれば腕時計は時間を正確に把握できればいいわけで、デザインや高級感などは本来優先度としては低くなるものです。
ですがここにブランドが絡むことで、大人のステータスとして機能すると考える人が一定数います。
ブランドにこだわる理由は?心理学で解説_社会的アイデンティティとハロー効果
ブランドにこだわる人は心理学的に解説することができます。
上記で説明したブランドにこだわる人の思考法も、ここでお話しする心理面で全て説明することができます。
キーワードは社会的アイデンティティとハロー効果です。
社会的アイデンティティで自分のポジションを示す
アイデンティティは一言で言えば「自己」でありますが、心理学の社会的アイデンティティというのは、自分が社会の中でどのような集団に所属しているかを示す心理的な事象です。
例えば高校野球や箱根駅伝を見ている時に、学生時代に野球部でも陸上部でもないのに母校だからという理由で応援している人がいます。
理由が母校だけだと応援してはいけないという事ではありませんが、冷静に考えると安直とも言えます。
しかしそれでも熱狂している人が多い理由としては、応援すること、ファンであることで自分の存在をその集団の中に置いている形になります。
つまり応援しているチームが勝利すると自分が勝ったかのように喜べるのは、社会的アイデンティティの心理が働いてるからこそと言えるのです。
この観点で読み解くと、ブランドにこだわる人というのは高級ブランドなどを所有する、身につけることによって自分の社会的アイデンティティをそこに満たしているということが分かります。
憧れのセレブと同じバッグを持っていたり、流行のアクセサリーを身につけたいと思うのは、この社会的アイデンティティの働きによるものが大きいのです。
ハロー効果で自己顕示欲を満たす
また、人からよく見られたいという願望に起因するブランドへのこだわりは、ハロー効果という心理で説明することができます。
ハロー効果というのは、対象がある1つの好ましい特徴を持っていることでその人や対象に対する見方が変わることです。
例えば車雑誌の表紙がスポーツカーと美女モデルがいつもセットで掲載されていることに気づいたことはあるでしょうか?
もちろん車の雑誌であれば車のみの写真を載せるのもありなのですが、隣に美女モデルが一緒に映り込む事で車の魅力が余計に引き立てられて雑誌の購読数を上げようとする意図があるのです。
これをブランドへのこだわりの観点で読み解いてみましょう。
例えばファッションブランドに憧れるきっかけとなるのは好きな有名人が身につけていて、自分もそうなりたい、近づきたいという欲求が生まれるからです。
これは前提として憧れている有名人の魅力でハロー効果が働き、その有名人が身につけているファッションブランドがより魅力的に見えていると言えます。
そしてその服を購入して身につけることで、周囲の人に自分が同じように見られたいという自己顕示欲を満たそうとするのです。
また、ハロー効果は以下の記事でも詳しく解説しているのでよければ参考にしてみてください。
身近なこだわりが、ブランドに執着するきっかけ
社会的アイデンティティとハロー効果を理解することで、わりと自分自身で似た経験を思い出すことはないでしょうか?
ブランドにこだわる人も最初から強いこだわりを持っていたというよりも、このような身近な心理現象が働いたことがエスカレートしていったと言えそうです。
ブランドに興味のある事のメリット・デメリット
せっかくなのでブランドに興味を持つことのメリット・デメリットも解説していこうと思います。
ここまでの解説でブランドにこだわることが良くない印象を持っているかもしれませんが、メリットも存在します。
整理すると以下のようなものです。
▼ブランドに興味を持つことのメリット
・商品のストーリーを楽しむことができる
・長く大切に使うことを楽しめる
・ブランドが人に与える影響を知れる
▼ブランドに興味を持つことのデメリット
・お金がかかる
・こだわりが止まらなくなる
・印象を重視するようになる
結論は、ほどよく付き合う。ですね。
ブランドに興味を持つメリット
メリットを活かせている人は少数の印象が強いです。わりと多くの人が「高価なもの=良いもの」という認識で購入に踏み切っているのではないでしょうか。
ブランド品を購入する以上はせっかくなのでそのブランドの歴史や作り手の意図を知り、ストーリーを楽しむ余裕があるといいかもしれません。それと同時に長く大切に使う事ができれば、自分の歴史の一部として味わい深く付き合っています。
また、この記事でご紹介しているようにブランドを知ることでブランドが人に与える影響についても知ることができます。
なるほど、こういう商売もあるのか。という具合に知的な楽しみ方ができるわけです。
ブランドに興味を持つことのデメリット
同じコップでもブランドがつくことで値段が2倍になるということは良くあります。
そのためブランドにこだわるとお金がかかるのはもはや宿命と言えるでしょう。
また、1つのブランド品を購入すると統一させたくなるコレクター魂に火がつきやすくなるので、こだわりが止まらなくなるとも言えます。
そして残念なことにブランドを身につけていることで他者からの自分の印象を過剰に意識するところまでヒートアップすることがあります。ここまでくるとメリットを意識する余裕は持てないと言えます。
身近な人がブランド好きな場合、どうするか?
付き合っている恋人がブランドに強いこだわりを持っている人の場合はどうしたらいいでしょうか?すぐに別れるべきでしょうか?
上記で紹介したメリット・デメリットの知識を使って考えてみることをおすすめします。
例えばメリットの観点で見れば、知的な楽しみ方ができる人と言えます。
このメリットに寄ったタイプの人であれば、モノを大切にするのと同時にマーケティングや商品価値などの分野に意識を届けることができ、精神的余裕と冷静なものの見方ができる傾向がありそうです。
そのため、ブランドにこだわっているからといって破産するまでブランドにお金を使うような人ではんさそうです。
一方でデメリットに寄ったタイプの人であれば、残念ですが距離をおいた方がいいでしょう。
ブランドの価値を「他者から良く見られたい」という願望を叶えるためのものとしてみているのであれば、お金遣いが荒いとみれますし、精神的な余裕のない人とも言う事ができます。
今は気にならないかもしれませんが、長期的にお付き合いしていくのであれば、徐々に距離をおくことを考えてみてもいいのかもしれません。
ブランドに興味のない人の考えていること
世の中にはブランドに強くこだわりを持つ人がいる一方で全くこだわりのない人もいます。
ブランドにこだわりのない人はどのような考えでいるのでしょうか。
せっかくなのでその点も紐解いていきます。
自分に自信がある
ブランドに強いこだわりを持つ人の心理の裏返しのような部分がありそうです。
自分に自信があるからブランドに頼らなくても自分に魅力があるという傾向がありそうです。
これが行き過ぎるとナルシスト的なものになるので良くないですが、過不足なく自分に自信を持つというのはメンタルを安定させる意味でもいいかもしれません。
お金をかけたくない
そもそも同じ機能なのであればブランド品じゃなくてもいい。という現実的な考え方があります。
これは一番健全な考え方かもしれません。
お金をかけてブランド品を買うのは、その満足感が満たされるのは購入したタイミングがピークかもしれません。
その後同じ満足感を維持するのは難しいでしょうし、支払ったお金と時間経過を考える人はほとんどいません。ついついブランドに引き寄せられてしまう人からするとあやかりたい所ですね。
目立ちたくない
性格面の部分が大きそうです。ブランド品を見にまとうというのは自己顕示欲を満たしたいという欲求の表れとも言えます。
その自己顕示欲が低い人からするとブランド品を身につけるのは迷惑な話になりそうです。
目立たず静かに生活したいという人からすると、ブランド品はそもそも必要のないものと言えますね。
ブランドに興味のない人は、自分の有り様を考えている人
上記3つブランドに興味のない人の考え方を紹介してみましたが、共通しているのは自分にとってブランドが必要かどうかを考えられているという点だと言えます。
成り行きでブランドと付き合わず、自分にとって今必要じゃないから。という意志がハッキリしていると言えるでしょう。
さいごに、ブランドとどう付き合っていくか?
ここまでブランドにこだわる人の心理から、良い点や悪い点について解説してきました。
とはいえ、ついついブランドに惹きつけられてしまうのが正直なところだったりしますよね。
一番はお金をかけずに堅実に生活していくのが一番いいのですが、たまには自分にご褒美をあげたい気持ちもあります。
なのでブランド品とは上手くつかず離れずの距離感で付き合っていくのが一番いいかもしれません。
反対に、ブランド品を使って自分を他人によく見せようというのは一番良くない考え方と言えそうなので、もしこの気配が自分にありそうだったら一度冷静になることをおすすめします。
ブランド品も言い換えれば娯楽です。自分にとって娯楽をどのようにして楽しむか、バランスよく考えて楽しみたいところです。
それでは。
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