みなさんの周りで急に怒り出したり、被害者ぶったり、話の通じない人はいませんか?
この人、敵意帰属バイアスが働いてるのかな、、、
そのように感じこの記事にたどり着いたあなたは身の回りにいるそのような困った人の対処法を知りたいのではないでしょうか?
ご安心ください。対処法はあります。
この記事では困った人がなぜそうになってしまったのか、困った人の正体から対処法までこの記事でまとめて解説していきます。
ご紹介する内容は心理学で明確に定義されたものを参考に、今から使える対処法に落とし込んでお話しします。
難しいことは何もないのでご安心を。
ただ少しだけ専門的なお話を許してもらえるのであれば、今回の困った人は心理学的に以下に位置付けられる心理の持ち主です。
敵意帰属バイアス。これが困った人が抱える心理現象です。
この記事で敵意帰属バイアスを理解して、困った人の正体を知って対処法を身につけましょう。
▼この記事の参考になる人
・身近にすぐに勘違いするめんどくさい人がいる
・煽り運転に遭遇したことがある
・心理学に興味がある
ぜひ楽しんでいってください!
敵意帰属バイアスとは?
今回の記事のキーポイントである敵意帰属バイアスについて説明します。
この聞き慣れない単語を分解すると以下になります。
敵意 → 相手を敵視する。敵として見なす意図を持つ。
帰属 → その言動の原因を何のせいにするか?
バイアス → 偏見、偏ったものの見方
つまり敵意帰属バイアスとは相手が自分に敵意をもって接していると感じる偏見。
ある種の思い込みと言えます。
具体的な敵意帰属バイアスの例を説明します。
例えば会社で上司から叱られたとしましょう。叱られた内容は置いておいてあなたは叱られた事実に対してどのように感じるでしょうか?
自分のミスが原因であり、上司は自分が良い方向に修正するために叱ってくれたと感じるでしょうか?それとも、自分に恥をかかせるためにあえて周囲の人のいる所で自分を叱ったと感じるでしょうか?
敵意帰属バイアスが働く人はこれが後者に当てはまります。
あおり運転についても同様のことが言えます。
あおり運転をする人は何かしらのきっかけで行為に及ぶのですが、それが道路上にいる他のドライバーのせいだと供述することが多いです。
つまり他のドライバーの運転が自分に対して攻撃をしかけていると受け取り、その仕返しにあおり運転行為に走るのです。
なんだか冗談のようなお話しですが事実です。
彼らは自分が攻撃されている、敵意を向けられていると感じます。そして自分を守るために攻撃的な行動に出るのです。
では次からは敵意帰属バイアスを持つ人の抱えているものに目を向けてみましょう。
敵意帰属バイアスの原因
敵意帰属バイアスは遺伝的なものではありません。その人が生活する中で不幸にも身につけてしまうものと言えます。
上の例でご説明したとおり、敵意帰属バイアスは危険な思い込みのようなものと言えます。心理学的に言うと認知の歪み(ゆがみ)です。
目の前のできごとに対して歪んだ受け取り方をする原因は以下のようなものがあります。
▼敵意帰属バイアスを抱える人の原因
・自己肯定感が低い
・コンプレックス、トラウマがある
・視野が狭い
・自信がない
・人生経験が浅い
これらは誰もが持っている不安要素だと言えます。
しかしながら目の前のできごとを歪めて受け止めてしまう程にこの不安要素を強く抱えてしまうことが、敵意帰属バイアスの心理を起こさせてしまうのです。
例えば上記の「コンプレックス、トラウマがある」というもので説明しましょう。
その人は本能的に自分の無知さや努力不足を見抜かれる事を恥じると同時に、格下だと思われるのを嫌がります。立場的な優位性が得られないことに恐怖を感じ、自尊心を傷つけられるのが嫌なばかりに敵意帰属バイアスが働き攻撃行動に出るのです。
また、「自信がない」ことに強い不安要素を感じるのも同様です。
自信がないというのは他人と自分を比べるから感じるものですよね。そのため他人を遠ざけることで恐怖を感じる機会そのものを減らそうとします。他人に反発する言動を繰り返して「あの人の弱みを暴くことはやめよう」と思わせるのです。そのようにして相手を意気消沈させ屈服させようとします。
このように敵意帰属バイアスを抱える人の原因の根底にあるのは「自尊心を傷つけないため」ということだと言えます。
敵意帰属バイアスの具体例
それではここからもっと具体的な敵意帰属バイアスの例をみてきましょう。
以下に取り上げる例は敵意帰属バイアスでよく見られるものになります。
もしかしたら実際に自分が思い当たる所があるかもしれません。
これを書きながら、違うとは分かりつつもネガティブに受けとめたことがあるなぁと思い出しました。
▼敵意帰属バイアスの具体例
①質問をされただけなのに詰問されたように感じる
②褒められているのに嫌味に感じる
③不可抗力なのに意図的に感じる
④話をしているだけなのに否定されたように感じる
ひとつひとつ見ていきましょう。
①質問されただけなのに詰問されたように感じる
「今度の週末どこいくの〜?」「そこって良いよね!ホテルとかもう決まってるの?」という風な相手とのちょっとした雑談のはずが、敵意帰属バイアスの心理現象が働いていると問い詰められているように感じます。
敵から尋問を受けているように感じるので、敵意帰属バイアスが働いている側は防御本能が働いて急に怒ったり反発したりします。
②褒められているのに嫌味に感じる
これは実際に嫌味として言う人も世の中にはいるのでイメージが湧きやすいのではないでしょうか?
「今日めっちゃオシャレだね!」と言われた時に、敵意帰属バイアスを抱えている状態は「嫌味っぽいなぁ。ダサいって言いたいのかよ」という風に受け取ってしまいます。
③不可抗力なのに意図的に感じる
わかりやすく言うと、満員電車に乗っている時に周囲の人と肩がぶつかったりします。仕方のない状況ですよね。
しかし敵意帰属バイアスを抱えていると、これが意図的に、悪意を持って自分に対して行われたと感じる形になります。
④話をしているだけなのに否定されたように感じる
少し①に近いですが、単なる雑談を自分に対してネガティブに受けとめてしまいます。
例えば3人で話している時に、「Aさんってほんと料理上手だよね。うらやましい!」という話題だったとします、敵意帰属バイアスを抱えているとこれに対して「自分は料理が下手だと言われているんだ」という風に受けとめてしまいます。
敵意帰属バイアスの傾向
上記の例を見ていると、敵意帰属バイアスを抱えていると自意識過剰や思い込みが強い傾向が受け止められます。しかし具体例の通り性格的な傾向と言う以上に偏ったものです。
僕が出会った敵意帰属バイアス
僕自身の経験で言うと、会社の取引先で敵意帰属バイアスだったと感じることがありました。
その取引先は依頼したメールやチャットは無視し、期限は守らず、追い詰められると助けを求めてくるような所です。
そもそもビジネスとしてありえないのですが僕のいる業界では、実はあるあるだったりします。。。
その取引先が言うには、「この件で自分が指摘を受けるのはおかしな話で、きちんとフォローしなかったあなたに責任がある。」と言うのです。
「こっちは何度もメールもチャットも電話もしたわ!」と強烈にツッコミを入れたい所なのですが、要は義務をはたさず権利だけ主張しているわけです。
敵のために義理や義務を果たす必要はないですよね。そして文字通り敵対的に要求を突きつけているわけです。
このように取引先や職場内、プライベートのどこでも敵意帰属バイアスを持っている人がいるというのは非常にやっかいです。
次からは敵意帰属バイアスの対処法について見ていきましょう。
敵意帰属バイアスの対処法_基本の型
ここまでで敵意帰属バイアスの原因や具体例を解説してきました。身近にいた困った人の正体が見えてきたのではないでしょうか?
ここからはその敵意帰属バイアスを抱える人に対して僕たちがとるべき対処法をご紹介します。
対処法を知り、今までよりも健康的に過ごせるようにしていきましょう。
▼敵意帰属バイアスを抱える人の対処法
①自分の意見を説明しようとしない
②できれば関わらない
③聞き手にまわる
対処法は主に3つあります。それぞれ見ていきましょう。
①自分の意見を説明しようとしない
敵意帰属バイアスを抱える人は、雑談すら非常にネガティブに受け取り、急に怒り出したり被害者ぶったりして反発します。
雑談していただけなのに目の前の相手が急に怒り始めたら、「何か悪いことを言ったのかな?」を慌てますよね。そして何が悪かったのか分からないがそのような意図のない旨を説明しようとするのが自然です。
しかし敵意帰属バイアスを抱える人にはこれが逆効果になります。
相手に説明しようとすればするほど、自分が論破されるという敵意が高まり自身の自尊心を守るために反発がエスカレートしていきます。
ですので急に相手が怒り始めた時は自分から説明するのは控えましょう。
相手の言うことに調子を合わせてその場をしのぐ方が健康的です。そして内心「この人は敵意帰属バイアスを抱えているのか?」という仮説を立てて人間関係を冷静にチェックすることが大事です。
②できれば関わらない
物理的に距離をおきましょう。相手が敵意帰属バイアスだと分かったら特にです。
基本的に2人で話すことは避け、3人以上の複数人で接するようにします。
敵意帰属バイアスを抱える人は雑談の中で急に怒り出したりします。どのポイントで怒るのかが分かればいいのですが、分からないことがほとんどですので2人で話している時に急に怒り出して、事情を知らない第3者に被害者ぶって我々を悪者に仕立て上げられては迷惑です。
このようなリスクを避けるためにも、敵意帰属バイアスを抱える人と2人で話すことは避けましょう。
③聞き手にまわる
できれば関わらないようにしていたけど、どうしても2人で話さないとならなくなってしまった。そのような時は聞き手に徹しましょう。
相手は我々の説明に対して反発します。つまり我々が話すことがトリガーになることが多いので、とにかく話の聞き手に回ることが無難です。
相手の言うことに耳を傾け、共感したり興味を持ったりして聞き手役に徹することが大事です。
ただ、誰が敵意帰属バイアスを抱えているのかは分からないので、基本的なスタンスとして聞き手にまわるクセをもっておくといいかもしれませんね。
敵意帰属バイアスの対処法_家族の場合
では家族の中に敵意帰属バイアスを持っている人がいた場合を考えてみましょう。
上述の対処法をそのまま使うのは難しいです。
自分の意見を言わないというのは一緒に生活していて永遠にはできません。できれば関わらないというのも現実的ではないです。最後の手段は聞き手にまわることです。これについて具体的に考えてみます。
聞き手に回るにしても、ずっとウンウンと聞いているのもしんどいです。
ですので以下のように目的意識を持って進めましょう。そうすれば家族の敵意帰属バイアスは少しずつ解けてゆくかもしれません。
①話を聞き、相手を承認する
第一歩として聞き手に回るのですが、ここに目的意識を持ちます。
それは相手を承認するということです。褒めるということではなく、相手の話に理解を示すのです。
相手の話を理解する上では対等な関係の上で接しているというのを態度で表します。決して下手に出ず、相手を見下すようなこともしません。
私たちの言動は相手にとって敵意に帰属されてしまいますが、それでも対等に接し続けます。相手に真摯に向き合い、一人の大人として敬意を持って接するのです。その相手が子供であっても同様です。
時間はかかるかもしれませんがこの行動を積み上げることが重要です。
②相手に共感し、自分の存在を認めてもらう
もし相手が関心を寄せていることがあれば、その関心に寄り添ってください。スポーツに夢中であれば一緒に観戦を楽しんだり練習をしたりします。芸術の分野も同様です。相手に共感を寄せていくことで相手への敬意を態度で示していきます。
そして対等な関係として相手に徐々に相手に理解してもらうことで、心の安全を脅かす存在ではないと認識してもらうことが重要です。
敵意帰属バイアスを自分が抱えないためには
ここまで読んでくれた中で、もしかしたら自分に当てはまると感じた部分があったかもしれません。
敵意帰属バイアスはゼロかイチかの存在ではなく、誰しもが本能的に持っているものなので変なことではないです。
ただそれが行きすぎてしまったのが、この記事でお話ししている敵意帰属バイアスになります。
多少なりとも危機感がないと、昔の人も生き延びてこれなかったわけですから。
ただ、自分が敵意帰属バイアスを抱えているのでは?と思うと怖く感じますよね。
そこで自分が敵意帰属バイアスを抱えず、すこやかに人間関係を維持できるように以下の点を意識して生活していきましょう。
▼敵意帰属バイアスを抱えないために意識したいこと
①敵意帰属バイアスを理解する
②感情を切り離す
③語彙力を増やす
①敵意帰属バイアスを理解する
自分が感情的になった時に、もしくは感情的になった時のことを振り返る時には、それが敵意帰属バイアスの特徴を持っているのかを考えることは大切です。
自分が敵意帰属バイアスに陥っていると気がつけば早い段階で対処ができます。
自分を知る、ということです。
そして自分を知るためには当然知識が必要でして、敵意帰属バイアスを理解しておく必要があります。
この記事を読んでくださっていれば、①は問題無いと言えるでしょう。
②感情を切り離す
敵意帰属バイアスが発動しているときは怒りの感情が起こっています。
怒っている時に気づければいいのですが、あまり現実的ではないので過去に自分が起こった記憶を参考にしたり振り返るのがいいでしょう。
自分の怒りが何によって引き起こされたのかを冷静に分析してみるのです。自分が怒っている理由を整理します。
そしてその理由を客観的にみるときに「思い込みじゃないか?」という点で見てみるのも大切です。相手に直接聞く必要もないかもですが、相手は悪意が本当にあったのだろうか?という余地を検討してみるのです。
それによって「分からないこと」をどう考えるのか?という所に至れば、わざわざ怒るのも手間のかかるどうでもいいことのように見えてくるでしょう。
③語彙力を増やす
意外かもしれませんが語彙力を増やすのは有効です。
②に通じる所ですが、怒りの理由を整理する時は具体的に言語化していく必要があります。
自分が納得のいかないシチュエーションを言葉で説明するのはそう簡単ではありません。
反対にそれをしっかり説明できるようになると、「自分が敵意帰属バイアスの影響を受けていたのでは?」という気づきに結び付きます。
なぜなら自分の怒りを理路整然と並べようとすると、どこで自分の思い込みに翻弄されたのかを明確に知ることに繋がるからです。
自分で自分を正すという意味で、語彙力は鍛えておいて損のない所です。
ヤバい、ムカつく、という言葉に頼らず、自分で明確に話し切れるようになると気持ちが豊かになります。
敵意帰属バイアス_社内の場合
会社内で敵意帰属バイアスを抱えると人と一緒に仕事をするのは苦痛ですよね。
その場合はこれまでご紹介してきた内容を使って対処していきましょう。
まず第一には距離をとります。職務の具体的な内容に関わる伝達事項以外は関わらないようにしましょう。
もし話す必要がある場合は第3者がいるように心がけます。そして相手の言うことの聞き手に徹しましょう。
下手に間違いを指摘せず、説明しないようにすればOKです。
仮に相手が明らかな間違いを言っていたとしても、その場は聞くだけ聞いて終わりにします。
敵意帰属バイアスを抱える人はまさに爆弾と同じなのです。
また、その爆弾性を他の人と共有しておくことも大事です。あの人急に怒り出すから仕事が進めづらい旨を他の人から共感を得ておくのです。
「分かります。僕も急に怒られて、とっさに謝っちゃったんですよ。」という具合に共感を得ておくと安心でし、また怒り出して手が付けられない時に上司に説明する説得力が増します。
さいごに
敵意帰属バイアスの存在から原因、対処法まで徹底的にご紹介してきました。
この記事を通して急に怒り出すあの人の正体や対処法、明日からの付き合い方のイメージを持ってもらえると嬉しいです。
怒りの感情は大切ですが、それは手のつけられないものなのは良くないです。不満はしっかり表明してこそ価値のあるものになります。
自分の弱さを隠すために相手を萎縮させたりするのは、相手だけではなく自分も傷つける形になります。
感情との付き合い方という意味でも、敵意帰属バイアスを理解することは非常に有益です。
また、この記事では今回のように心理学を使った解決法を紹介しています。
おすすめの記事として、僕が会社で悪者にされてそれを乗り切った話や、血液型診断に関わる内容などおもしろいと思いますのでぜひ参考にしてみてください。
それでは。
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