交渉の場面で相手が優位に立っている場合、自分が仲間にとって不利な提案を受け入れるか、それとも自分が不利になって仲間の利益を守るか、このような選択を迫られる場面があります。
ギャング映画で出てきそうな命のやりとりほどではありませんが、取引の現場は情報戦だったりするのでこのようなシチュエーションは利益か損失の交渉の場で出てきます。
このような場面はどのように切り抜けるのが良いのでしょうか?
交渉の条件によって回答は変わりそうですが、このような板挟みの状態で人に生じる心理を心理学は解明してくれています。
もし自分が板挟みになったらどのような心理が働くのかを知っておくことで、より冷静な判断ができるようにしようというのがこの記事のテーマです。
キーワードは、囚人のジレンマです。
▼この記事が参考になる人
・交渉で板挟みになった経験のある人
・これからの仕事に心理学を活かしたい人
・心理学に興味のある人
ぜひ楽しんでいってください!
囚人のジレンマとは?
仲間を売るか売らないか。目の前の利益を取るか、長期的な利益を取るか。
このような板挟み状態に陥ったときに人はどのような心理状況に陥るのでしょうか?
これを解明してくれた心理学が、囚人のジレンマと呼ぶものです。
図で示すと以下のイメージになります。
なかなか口を割らな囚人それぞれに、検事は司法取引を持ちかけるというものです。
ここで発生するジレンマは、「相手がどんな行動を取るか信用ができないから」に他ならず、ここで黙秘をするということは相手に協力するということになります。
そして、結果的に自分が損をする可能性があっても人は相手に協力することがあります。
このようなことから、人は長く付き合う相手に対して協力的になりがちであるということが実験を通してわかってきました。
次からは実際の交渉の場に置き換えて囚人のジレンマについて考えていきます。
囚人のジレンマを理解して、板挟みの交渉を乗り切る
囚人のジレンマの実験を聞くと、我々の日常に馴染みがないためイメージしずらいですが、仕事で取引先と交渉する機会のある人はこの囚人のジレンマに陥ることがあります。
例えば交渉の最中、相手に「今この価格で決めてくれれば取引成立します。もし即決できなければ他社さんと交渉を進めます。」という風に言われたことはないでしょうか?
これはまさに囚人のジレンマが生じていると言えるでしょう。
即決すれば目の前の利益にありつけますが、その価格は上司の許可が必要な価格の場合は、目の前の利益と自分の評価が天秤にかけられます。
このようなジレンマです。
これに対して明確にどちらが良いという回答は難しいですが、囚人のジレンマの存在を知った上で考えると、この決断が誰に対して協力的なのかを考えるヒントになります。
即決するのであれば取引先に対してですし、しないのであれば上司に対してです。
そして人は長く付き合う相手に対して協力的になりがちという傾向があります。
したがって、この場合は上司に協力する方向に傾きかけることでしょう。
しかしここで即決することで、目先の利益に飛びつくのと同時にその取引先と長期的な付き合いを開始できるメリットがあるかもしれません。
交渉ごとにおいては目の前の事実に苦悩しがちですが、このように長期的な視点ももって考え、決断を下すことも大切と言えます。
囚人のジレンマが自分の心理状態に起きていることを認識しつつ、それをトリガーに冷静になって再考するのは良い手だと言えそうです。
さいごに
上記のように仕事で交渉のテーブルにつく人でないと囚人のジレンマを実際に経験する人は少ないと考えるかもしれません。
しかし、スーパーのタイムセールなども囚人のジレンマに近い性質で我々に影響を与えることがあります。
このように身近な例に落とし込むことが、心理学を使って我々の生活を豊かにするきっかけになるでしょう。
さいごに、今回の記事は以下で紹介する2つの本を参考に執筆しました。
囚人のジレンマ以外にも使える心理学のテクニックがたくさん紹介されているのでぜひ参考にしてみてください。
それでは。
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