仕事で何となく「面白み」を感じて、その業務は楽しく行っていたところ上司が気を遣って、その好きな業務が報われるように成果報酬をつけてくれた。
ところが、そのような報酬がぶら下げられたにも関わらず急にやる気が無くなってしまった。
そんな経験はありませんか?
あるいは、普段嫌いな勉強も新しい分野も何だか楽しくやれていたら、それを感じ取った親に次のテストで良い点をとったらいつもよりお小遣いを増やしてあげる。
このように言われたことで急に勉強の興味がなくなってしまった。
これは実は人の反応として自然です。
この事象は心理学でアンダーマインング現象と言います。
どちらも相手はよかれと思って相手に報酬を設定したのにも関わらず、相手のやる気を削ぐことにつながってしまっています。
今回はこれについて見ていきましょう。
▼この記事の参考になる人
・相手のやる気を引き出したい人
・自分のやる気を失いたくない人
・心理学に興味のある人
心理学は本当に興味深いですね。ぜひ楽しんでいってください!
アンダーマイニング現象とは?
すでに前段で事例を取り上げてますね。
アンダーマイニング現象とは、報酬が設定されることで逆にやる気を失ってしまう人の心理現象を指します。
では、なぜアンダーマイニング現象は起きてしまうのでしょうか?
これを解明するのが内発的動機づけと外発的動機づけという、やる気の源泉となる2つの動機づけです。
内発的動機づけは、自分の好奇心や発見したおもしろさを中心に行動することです。
外発的動機づけは報酬を得るためだったり罰を避けるために行動するものを言います。
上述の事例は、内発的動機づけが報酬を設定されることで損なわれてしまったことによるものです。
図で示すと以下のイメージです。
つまり自分が発見した面白みが、報酬という形であっても干渉されてしまうことで内発的動機づけが損なわれてしまう形になります。
人のやる気というのは実はすごく繊細なようです。
それではここから、他人にやる気を出してもらうにはこのアンダーマイニング現象をどのように考えるか見ていきましょう。
人にやる気を出してもらうには
会社で働いていると、立場上相手に依頼したり対応してもらう必要が出てきます。
例えば新人の後輩を育てる時などは特にそうです。
新人なのでやる気はありそうですが、相手も人間なのでいつまでも勢いだけでは務まりません。
ですので上手くやる気を保ってもらえるようにこちらから働きかけるのが利口です。
ここで、「がんばれば将来出世して給料が上がる」などと言うのはアンダーマイニング現象を引き起こしそうです。
新人は早く仕事を覚えて実績を出したいと考えているでしょうから報酬をぶら下げるよりも、上手くできたことや新人が仕事理解できたこと、もしくはこの仕事に興味をもったきっかけと覚えた業務を結びつけてあげるようなコメントをしてあげるのが有効そうです。
例えば、アパレル店員の職場でスタイリングが好きな新人を育てるときには、「今の声かけ良いね!すっと入ってきてくれるから、スタイリングの話もすぐにお客さんは聞き入ってくれるよ」という具合に結びつけてみるといいかもしれません。
少々強引かもしれませんが、遠くても内発的動機づけと「結びつく」ことを示してあげることが良さそうです。
これを行うには、相手のことを知りながら応対していく必要がありそうですね。
さいごに
今回はアンダーマイニング現象を紹介しました。
やる気も心理学を通して見てみると実に繊細なものということが分かります。
根性論は早い段階で限界が来そうですね。
お互いに気持ちよく仕事をする意味でも、アンダーマイニング現象を上手く利用していくことは大事そうです。
この記事を執筆するにあたって、以下の本を参考にしました。
アンダーマイニング現象以外にも使える心理学のテクニックがたくさん紹介されているのでぜひ参考にしてみてください。
それでは。
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